建設現場でのアスベスト除去に関する安全対策

解体・改修工事における石綿ばく露による健康障害を防止するため、令和2年(2020年)7月に石綿則の改正以降、日本でも法規制による強化が多く見られます。石綿等が使用されている建築物、船舶、工作物の老朽化による解体等の工事の増加が予想され、アスベストを含む建築物解体現場では、HEPAフィルター付真空掃除機の使用が義務付けられ、2021年にはレベル3建材(建築物の天井、壁、床など)までがその規制対象となりました。
この記事では、アスベストをどのように除去し廃棄するか、またどのような安全対策をとるべきかを説明します。

厚生労働省:石綿障害予防規則など関係法令について
厚生労働省:アスベスト(石綿)に関するQ&A
環境省:石綿(アスベスト)問題への取組み 建物を壊すとき
環境省:改正大気汚染防止法について(令和2年)

建設現場でのアスベスト除去に関する安全対策

アスベストとは何か?過去にどのように使われてきたか?

アスベストは、天然に産する繊維性のケイ酸塩鉱物です。不燃性で、熱や多くの化学物質に対する耐性を持っています。弾力性と結着力が高いため容易に加工が可能で、さまざまな製品を作ることができます。アスベスト含有製品は、飛散性と非飛散性の大きく2種類に分かれます。

セメント(例:エタニット)などの非飛散性のアスベスト含有製品は、表面が均一で硬く、グレーがかった色をしています。それに対し、飛散性のアスベスト含有製品の表面は柔らかく、破損部や切断部から繊維の束が出ているのがはっきりと見え、それによって見分けることができます。飛散性のアスベストから出る繊維は簡単に空気中に飛散してしまうため、人の健康にとっては非常に有害です。飛散性のアスベストを材料として使っていた建設資材には、配管被覆材や断熱板、鋼鉄の難燃性を向上させるための溶射被膜などがあります。

 

アスベストはなぜそれほど危険なのか

アスベストは、最大直径2ミクロンの非常に細かい繊維から成る物質です。微細な繊維は人が吸入してしまいやすく、それによって肺に疾患を引き起こすことがあるのです。ジュネーブの国際労働機関(ILO)によると、世界で毎年約10万人がアスベスト関連の石綿症(慢性的に肺が傷つけられる症状)によって命を落としています。


アスベストの除去と廃棄における危険性、および安全対策

破損がなく、用途を守って使用されていた場合は、飛散性のアスベスト含有製品からアスベスト繊維が空気中に飛散し、健康被害を及ぼすことはありません。しかし、材質が脆くなり、緩んでいたり 、破損したりしている場合は、アスベストの除去と廃棄を専門とする業者に依頼し、法的要件を守って除去してもらう必要があります。

 

アスベストの危険が潜んでいる場面とは

アスベストを除去するためのあらゆる機械作業(穿孔、鋸引き、研削、研磨、破砕、粉砕など)に危険が潜んでいます。一般的に、アスベストを含む資材を扱うすべての作業者は、十分な情報を得て保護具を着用し、該当の資材を扱うための訓練を受けた上で、アスベスト管理規則2012に準拠した作業を実施しなければなりません。

さらに、破損した断熱板、配管被覆材、アスベスト溶射被膜など、一部のアスベスト含有製品の除去作業は、認可を受けた事業者しか実施できません。一定の条件下で認可外のアスベスト除去作業を行う場合も、必ず通知を行い、対象区域の警告表記などの追加の安全対策を実施することが求められます。

 

アスベストの除去と廃棄における危険性、および安全対策

ポイント 1 – 建設資材の試験を実施する

建設資材にアスベストが含まれるかどうかを明らかにする方法は、資材の試験しかありません。アスベストが検出された場合は、必ず作業を中止してリスク評価を行い、資材が本当にアスベストを含有するかどうか、認可を受けた者だけが除去できる対象かどうかを判断してください。

ポイント 2 – 見誤りのリスク

アスベスト含有製品は、グラスファイバー、岩粉を材料とするシート材、鉱物繊維などの代替製品と間違われやすいので注意が必要です。

ポイント 3 – 要注意箇所

暖房配管の断熱材、夜間蓄熱電気暖房機、調理器のボール紙やコード被覆材、オーブン、暖炉には注意してください。

アスベスト除去作業のための安全要件

アスベストを除去する際は、イギリスの指定防護係数(APF)20以上の適切な呼吸保護具(RPE)を使用する必要があります。ほとんどの場合、使い捨て用のRPEで十分に対応できます。作業に長い時間を要する場合は、電動ファン 付きのRPEを使用してください。

また、アスベスト廃棄作業の際には、作業者は使い捨てのオーバーオールを着用する必要があります。使い捨て靴カバーを使用するよりも、使い捨て用手袋とブーツを着用することをお勧めします。

ポイント 1 – 使い捨て保護オーバーオールを使用し、廃棄する

使い捨ての保護オーバーオールは、定められた方法で廃棄しなければなりません。アスベストと接触した廃棄物だけを入れる専用の容器に密閉して廃棄します。

ポイント 2 – 再利用可能な保護オーバーオールは使用しない

アスベスト除去作業に、再利用可能な保護オーバーオールの着用は推奨されていません。使用しなければならない場合は、危険区域から出た後で、オーバーオールを除染するか、アスベスト廃棄物として処分する必要があります。

適切な吸引技術によってアスベストを廃棄する

アスベスト含有製品を扱う際には、アスベストの放出を低レベルに抑える方法をとってください。また、必ずすべての資材やアスベスト含有製品を湿らせてから作業を開始してください。表面が湿気を帯びていると、大気中に放出されるアスベスト粉塵を減らすことができます。ブラシや噴射機を使用できますが、水だけの洗浄では不十分なため、液体洗剤も併用することをお勧めします。

適切な吸引技術によってアスベストを廃棄する

ポイント – 国ごとの規制に注意する*

アスベスト除去に関する基準や規制は国によって大きく異なるため、あらかじめ知っておく必要があります。たとえばドイツの場合は、クラスHバキュームクリーナーをアスベストの吸引に使用することができます。スイスの場合、BauAVとEKAS 6503が適用されますが、これらはドイツのTRGS 519と類似した基準です。オーストリアも同様の規格を定めており、またポーランドは人体に有害な塵埃に対し、欧州基準のタイプ試験を遵守しています。
日本でも環境省により除去作業時にかかわる石綿飛散防止対策として、粒径0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有したHEPAフィルター付き掃除機の利用や廃棄方法まで再飛散防止策が法令で定められております。

環境省:石綿飛散防止技術にかかわる 機器等とその保守管理
環境省:石綿含有成形板等の除去作業に係る石綿飛散防止対策

*当コンテンツはヨーロッパ基準であり日本の法律に準拠した対応とは異なる場合があります。

「アスベスト専用掃除機」のフィルター機能

「アスベスト専用掃除機」は、HEPAフィルターによりアスベスト繊維が使用者の気道に入らないように設計されています。


ポイント – セーフティーフィルターセットを使用する

アスベストの廃棄の際、粉じんの再飛散を防止するセーフティーフィルターセットが非常に便利です。セーフティーフィルターセットには、ポリエチレン袋入りの合成繊維フィルターバッグが入っており、このフィルターバッグが、危険なアスベスト粒子と接触するリスクを排除します。セーフティーフィルター製品に関連した法的要件は多数存在しますが(環境省資料『3. 石綿飛散防止技術にかかわる機器等とその保守管理』3.2.6項 厚生労働省『石綿障害予防規則 第30条』)、本品の使用をお勧めします。

バキュームクリーナーは使用のたびに清掃

作業の完了後は、アスベスト専用バキュームクリーナーの清掃を必ず行ってください。バキュームクリーナーの内側だけを清掃するか、あるいは訓練を受けた作業者であれば、ご自身でバッグを取り出してください。本体とアクセサリーは、毎回の使用後に掃除機で徹底的に清掃してから、湿らせた布で下向きに拭いてください。作業場全体に残留する塵埃は、すべての表面に湿式清掃を行って除去してください。最後にバキュームクリーナーの内側を清掃し、外側を湿らせた布で拭きます。清掃に使った布は、すべてアスベスト廃棄物として処分してください。

アスベストを吸引したバキュームクリーナーをダストフリーで運搬

当社のアスベスト専用バキュームクリーナーには、サクションポート用キャップと、アクセサリー運搬用のアクセサリー収納袋が付属しています。運搬前に、キャップでサクションポートを密閉し、粉じんの再飛散を防止してください。アクセサリー収納袋も密閉します。掃除機本体の密閉確認も重要です。
また、石綿等の切断等作業等に係る措置の見直し(石綿則第13条関係)では、除じん性能を有する電動工具の使用も発散低減効果があることが認められました。
ケルヒャーでは、電動工具アダプター先端径反感用をご用意しております。

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塵を積もらせない!アスベストを安全に廃棄する方法

アスベスト廃棄物を処分する際は、国および地域の廃棄物処理関連規制を必ず遵守してください。

アスベスト廃棄物の運搬を行うには、廃棄物運搬に関する認可を受ける必要がありますのでご注意ください。また、指定された廃棄場所しか使用できないことにも注意が必要です。アスベストの廃棄を支援する専門事業者に依頼するのが最も良い方法です。

専門事業者は必要なノウハウを持っており、必要な安全対策をとってアスベスト廃棄物を除去、運搬することができます。危険区域から持ち出され、除染のできないものはすべて有害廃棄物とみなされ、適切な方法で廃棄されなければなりません。廃棄物委託に関する覚書きを作成し、少なくとも3年間保管することも必要です。

不適切な処理方法は深刻な健康被害につながる上に、アスベストの適切な廃棄を行わなかったこと、適切な許可を得ていなかったことに対して罰金を課される場合もあります。

塵を積もらせない!アスベストを安全に廃棄する方法

アスベスト清掃に最適な製品


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お客様の環境によって、最適な製品は異なります。担当営業がヒアリングのうえ適切な機器をご案内いたしますので、ケルヒャー製品を使っての清掃、衛生対策にご興味をお持ちいただけましたら、下記よりお問い合わせください。

 

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ケルヒャーの業務用掃除機(バキュームクリーナー)について

ケルヒャーの業務用掃除機にはドライクリーナー、乾湿両用クリーナー、縦型のアップライト式クリーナーなど豊富なラインナップがあります。また、高性能のフィルターが細かな埃やゴミもキャッチして逃がしません。本体には強化プラスチックが使われているため軽量で丈夫、ご家庭ではなく業務のご使用に最適な掃除機です。

< 業務用掃除機(バキュームクリーナー)の種類>
・ドライクリーナー:一般的な掃除機と同じように乾いたゴミの回収を行います。タンク容量が7Lから12Lまでの複数の製品があります。また、コードレスタイプのクリーナーもあり、コードの取り回しの煩さしさを感じることなく、快適に清掃が行えます。
・アップライト式クリーナー:作業しやすい縦型のカーペット用掃除機です。家具を傷つけにくい素材のバンパーやモーターの故障を防ぐ安全設計など、ホテルといった高級家具が置かれている場所の清掃に適しています。
・乾湿両用クリーナー:強力な吸引力で乾いたゴミだけでなく、湿ったゴミや液体も吸引が可能であり、その際フィルターの交換が不要です。タンク容量が27Lから65Lまで様々な製品があります。チリ落とし機能が付いているモデルもあり、沢山のゴミを吸引してもフィルターの目詰まりを防げるため高い吸引力を維持したまま清掃ができます。

<業務用掃除機(バキュームクリーナー)の特長>
乾湿両用クリーナーの特長の一つがチリ落とし機能です。フィルター掃除の手間を省くことができるため、短時間で広い面積を掃除する必要があるビジネスユースに適しています。
・手動チリ落とし機能(NT Apモデル):チリ落としボタンを数回押せばフィルターの目詰まりが解消されます。
・自動チリ落とし機能(NT Tactモデル):清掃中に一定間隔でフィルター目詰まりを自動的に解消してくれるので、清掃の手を止めずに効率よく連続作業が行えます。
一部の製品には帯電防止仕様となっており、微細な粉塵による静電気の発生を抑制できるので、ストレスなく清掃できます。容量がコンパクトなモデルは店舗やオフィスなど、物が多い場所でも軽快に清掃が可能です。大型タイヤ付きなので本体が振られて物にぶつかるリスクを軽減します。かがむことなく足でオン/オフできるフットスイッチは、スムーズな作業を実現します。日本人の手にもフィットする握りやすい形状なので、長時間作業する際の疲れを軽減します。片手で本体ハンドルとパイプを一緒に持てるので移動が楽です。階段の移動時も両手がふさがらず安全です。

<業務用掃除機(バキュームクリーナー)のアクセサリー>
洗って繰り返し使える合成繊維フィルターバスケットや通常のペーパーフィルターバッグに比べ、集塵量が約2倍(当社比)の合成繊維フィルターバッグなど、コストが削減できる消耗品を用意しています。さらに各種ホースやノズルも豊富にそろえており、オフィス・社内・食品加工工場・建築現場など様々な場所の清掃を快適に行うことができます。