倉庫の清掃
狭小な保管庫から大規模な倉庫まで、荷物を保管する場所をきれいに保つことは、労働環境の衛生・安全と倉庫内の保管物の保護の面で非常に有益です。特に床面は、不十分な清掃が事故の原因になるのを防ぐため、常にきれいに、安全に歩ける状態にしておくことが求められます。個別にカスタマイズできる(バキューム式)スイーパーや床洗浄機を使えば、必要な清掃をより効率よく行うことができます。
※本ページには日本で取り扱いがない製品も掲載されております。
汚れの種類に応じた清掃技術
倉庫での塵(ちり)や埃(ほこり)をそのままにしておくと、人やフォークリフトの移動時に塵を舞い上がらせ、移動する経路に塵や埃を拡散させてしまいます。舞い上がった塵を機械で吸い取る仕組みにすれば、清潔さと安全性を確保できると同時に、倉庫の保管物に埃(ほこり)が蓄積されるのも防げます。また倉庫内には、破れたラベルや輸送関連書類の紙片、金属の薄片や木片が落ちていることも珍しくありません。ほうきや(バキューム式)スイーパー、バキュームクリーナーなどを倉庫の規模に合わせて適切に選択すれば、塵や綿ぼこり、細かい紙片を簡単に取り除けます。
倉庫のスイープ清掃:塵の安全な除去
倉庫の清掃では、特に塵が多く発生するため、スイープで舞う粉塵を吸引する機能付きのスイーパーの使用が適しています。バキュームスイーパーの清掃プロセスでは、ローラーブラシで塵を巻き上げて吸入タービン(ファン)を使って吸い取り、フィルターシステムでゴミを分離させることでゴミの容量を圧縮させることができます。細かい塵を分離するフィルターの耐用年数は、定期的にフィルターを清掃することで延ばすことができます。機器の型によっては、ボタンを押すか、自動動作によってフィルター清掃を行う機能も備わっています。
塵や紙片のほかにも、倉庫の床には金属の薄片や梱包用テープ、パレットから落ちた木片などのゴミがよく落ちています。大きなゴミは、掃除機に詰まったり、ローラーブラシに巻き込まれたりする場合があるため、事前にほうきや清掃用トングを使って除去することが推奨されます。


ポイント:塵一つない作業環境
塵や埃を可能な限り排除した作業環境を実現するために、塵の拡散を減らすアクセサリーを使用することもできます。PVCコーティングを施したリネン素材のカバーで、スイーパーのフロント部から後輪までの全体をぴったり覆い、面ファスナーで留めて使用します。
倉庫内のスポット清掃
床、棚、保管庫など、範囲の狭い清掃作業の場合の理想的な製品は、清掃箇所の広さに合った乾湿両用掃除機です。狭小な保管庫でも、サッとすぐに使える多用途の掃除機で塵や水滴、こぼれた液体を素早く簡単に吸い取ることができます。かなり小さな保管棚を清掃する場合は、雑巾やバケツなどの掃除用具での手作業と併用します。

床洗浄機を使った倉庫の床洗浄
床洗浄機による清掃の際、まず考慮しなければならないことは床材の種類です。作業場を兼ねた小規模な倉庫の床には、丈夫で吸湿性が極めて低いファインストーンウェアタイルなどのセラミックタイルがよく使われます。一方、企業の倉庫や物流センターの場合は、スクリードや合成樹脂などの弾力のある合成材でできた業務用床材が多く使用されます。
倉庫によって床材の種類は大きく異なるため、清掃技術にもさまざまな選択肢が用意されています。どの技術を採用するかを決める際、基準となる大きな2つの要素は、床の状態と倉庫内のゴミや汚れの種類です。大きめのゴミが大量に発生する場所の清掃に適しているのは、ローラー技術を搭載した床洗浄機です。ローラーのプレスイープ機能によって、大きめのゴミを一度の清掃動作で拾い上げることができるからです。


ファインストーンウェアタイルの清掃
ファインストーンウェアタイルは、非常に人気の高い魅力的な床の仕上げ材で、頑丈で滑りにくい特性や、吸湿性の低さからも人気を集めています。モダンで安全性にも優れた面でも採用することの多い床材です。

セメントスクリードの清掃
セメントスクリードは、最も多く使われているタイプのスクリードです。この床仕上げ材は、外部からの相当な負荷に耐え、労働安全関連の基準も満たせるよう、清掃や手入れに特別な配慮が必要です。念入りな定期清掃、日常のメンテナンス清掃、中間清掃を行うため、適切な清掃機器を選択することが大切です。
技術的な清掃アプローチ(ローラー、またはディスク)と清掃ツール(パッド、またはブラシ)の最適な選択は、床の仕上げ材や汚れの種類によって異なります。
原則として、床が傷まない限りはアルカリ性洗浄剤の使用が効果的です。酸性の洗浄剤を使う場合は、セメント目地を傷めないように、必ず事前に水で濡らす工程が必要です。
特に倉庫で床洗浄機を使う際は、作業後に確実に床が乾いていることを確認します。なぜなら、清掃後すぐに人が歩いたり、フォークリフトが通ったりすることが多いからです。労働衛生と安全性を確保するために、必ず確認しましょう。

大規模倉庫に適した複合型クリーナー:一台にスイープ清掃、スクラブ洗浄、吸い取り機能を搭載
面積が10,000m2を超える大規模倉庫には、複合型クリーナーの使用をおすすめします。このような場所で使用するのに適した製品は、集塵機能を持ち、最大10㎡のフィルター面積を有する複合型クリーナーです。一度の作業でスイープ清掃、スクラブ洗浄、吸い取りを行うことができれば、特に面積が広い場所では時間の節約になり、清掃効率も上がります。さらにサイドブラシ付きのモデルを使うと、壁際の埃や塵などの除去にも効果を発揮します。
2種類の複合型クリーナー

1. 組付け型スイープユニットを搭載したクリーナー
このタイプの製品は、搭載した組付け型スイープユニットが床の乾式清掃を終え、その後工程としてローラーブラシで湿式洗浄ができる点が大きな特長です。
このモデルは、別途ローラーブラシと組み合わせて使用することで高い清掃効果を発揮します。ただし、プレスイープ機能が追加されているために全長が大きく(棚の間の通路で比較的大きな回転半径が必要)、乾式清掃工程で舞い上がる塵の量は多くなります。その一方で、吸い取ったゴミは乾いているので、ゴミ捨ては簡単です。

2. スイープ清掃、スクラブ洗浄用の大型ローラーブラシヘッドを搭載したクリーナー
組込み型のスイープ清掃機能を備え、大型のローラーブラシヘッドが付いているタイプの製品です。このタイプはブラシの直径が大きく、中には一般的なスイープ清掃用ブラシ径の2.5倍の大きさのものもあります。通常は吸い取ったゴミを大型コンテナに捨て、ダストコンテナの空きを増やします。このタイプのモデルでは、スクラブモードのスイープ清掃を自動継続させることも、水を使わずフィルターシステムを使う乾式スイープ清掃を行うこともできます。
倉庫内のすべての塵、埃を水の力で捉えられることが利点ですが、湿ったゴミを含んでいるため、ダストコンテナの清掃に手間がかかります。一方で本体がかなりコンパクトで操作性に優れ、ローラーブラシを別途追加する必要はありません。
倉庫内の頑固な汚れに挑む:タイヤの摩耗痕の除去
大型のハイベイ倉庫では、フォークリフトや走行車両がホールの端から端まで毎日行き来し、塵だけでなくタイヤの摩耗痕も床に残します。そういった場所では、タイヤ痕除去に効果の高い、専用に開発された洗浄剤を使用します。洗浄剤は薄めずに汚れた部分に塗布し、数分間置きます。次に床洗浄機を使って洗浄し、汚れた水を取り除きます。清掃プロセスの最後に、きれいな水で全体をもう一度すすぎます。
注意:この方法は、ポリマー基剤の材料、またはワックスによるコーティング部には使わないでください。コーティングが剝がれるおそれがあります。

用途に合った最適な清掃機器とは
清掃機器をご購入の際は、(バキューム式)スイーパー、床洗浄機、複合型クリーナーのいずれを選ぶ場合でも、簡単で効率良く、コスト効果の高い清掃を追求しなければなりません。どの製品を購入するかを決定するため、お客様の倉庫にとっての必要条件と合わせて、清掃機器の使用基準についてもご検討ください。
購入時に検討すべき要件や基準について、概要を次の一覧にまとめました。
広さ
倉庫に関する基準
- 倉庫の広さを計算します
- 原則として、清掃機器の理論上の清掃可能面積から30%~50%を差し引き、実際の清掃可能面積を計算します
- 直線走行しない、障害物があるなど、条件によっては差異が生じる場合があります
清掃機器に関する基準
- 理論上の清掃可能面積=走行距離(m)×前方直線走行時、1時間あたりの清掃範囲の幅
(バキューム式)スイーパー
- 小規模倉庫:手動操作型の手押し式モデル(面積最大約5,000㎡)
- 大規模倉庫:搭乗式モデル(面積5,000㎡以上)
- 狭小倉庫:ドライクリーナー
床洗浄機:
- 小規模倉庫:コンパクト型、または自走式のモデル
- 大規模倉庫:搭乗式床洗浄機
床材の種類
倉庫に関する基準
- 庫内の汚れの種類や床の仕上げ材により、ローラーブラシかブラシヘッドかを決定します
清掃機器に関する基準
(バキューム式)スイーパー
ローラーブラシの種類を選択します
- スタンダード(さまざまな材質の表面)
- ハード(粗い表面)
- ソフト(滑らかな表面)
床洗浄機:
ローラー技術か、ディスク技術かを選択します
- ローラー:表面が粗い凹凸加工のある床材向けに、要件に合うプレスイープ機能を搭載
- ディスク:表面が滑らかな床向け
駆動方式
倉庫に関する基準
- 倉庫で扱う荷物や建物の条件によって選択します
- 防火性の観点から、一般的な倉庫ではバッテリー式モデルが好まれます
清掃機器に関する基準
- バッテリー
- 液体ガス
- エンジン(換気の良い場所のみ適しています)
操作性
倉庫に関する基準
- 狭い箇所や袋小路など、また清掃の邪魔になるような物や備品がないかを確認します
清掃機器に関する基準
- クリーナーの最小回転半径を確認します
コスト
倉庫に関する基準
- 人件費と、清掃機器で清掃することで節約できる時間とを比較検討します
清掃機器に関する基準
- 取得コスト
- メンテナンスコスト
構成
倉庫に関する基準
- 作業環境の要件に応じて個別カスタマイズを検討します
清掃機器に関する基準
- 豊富なアクセサリーやオプション
- 床洗浄機用のオプション例:サイドブラシ、特殊タイヤ、保護ルーフ、急速充電器
- (バキューム式)スイーパー用のオプション例:保護ルーフ、作業用ライト、耐パンクタイヤ