世界お掃除アンケート調査
ケルヒャーは、世界各国の清掃習慣や掃除に対する意識を調べるために18~65歳までのドイツ・フランス・イギリス・オランダ・ベルギー・ポーランド・ロシア・ブラジル・アメリカ・中国・日本11ヶ国の男女 計11,099名を対象に、清掃に関するアンケート調査を行いました。
またアンケート結果について、ストレス研究の権威に心理学的な解釈や「掃除がもたらす脳への影響」についてインタビューを行いました(アンケート2019年に実施)。
アンケート調査
実施時期:2019年
回答者:18~65歳までのドイツ・フランス・イギリス・オランダ・ベルギー・ポーランド・ロシア・ブラジル・アメリカ・中国・日本11ヶ国の男女 計11,099名
回答者全体の92%が「重要」もしくは「とても重要」と回答しました。
最も高かったのがブラジルの98%で、続いてロシアが97%でした。ちなみに日本はというと78%という平均を下回る低い数値となりました。
「日本人はキレイ好き」だと世界の人々から称賛されることも多々ありますが、「家を綺麗にしたい」という意識の面では他国から学ぶところがあるのかもしれません。
回答国の平均は2時間52分で、映画を観たり友達とコーヒーを飲んだりする時間とほぼ同じです。
最も時間をかけていたのがロシアで平均のおよそ1.7倍の約5時間でした。逆に最も短いのが日本の約1.3時間で、平均の半分、ロシアと比べると3分の1以下になります。ブラジルや中国は平均時間に近い数値となっていました。
また、回答国全体に共通していたのは男性よりも女性の方が掃除をしていることで、女性3時間24分に対して男性は2時間17分、ロシアでは差が最も大きく女性6時間に対して、男性は3時間でした。今回のアンケートの回答者が女性のみだったら平均時間ももっと伸びたことでしょう。
男性の家事参加はどの国にも共通した課題のようです。
ほうきやモップ、ブラシといったアナログな掃除道具が人気で、回答者の8割が使用しています。
ケルヒャーには電動モップや電動水拭きともいえる「フロアクリーナー」や、ほうきとチリ取りが一つになった「スティッククリーナー」という商品がありますが、まだまだクラシックな掃除方法が人気のようです。
また、洗剤を使用する国も多く、全体の75%が合成洗剤を使用していました。しかし洗剤の中でも重曹やお酢、レモンといったナチュラルクリーニングの割合は低く、38%に留まりました。
掃除機などの掃除家電はコード付きタイプが60%、コードレスタイプが23%の結果となりました。最新掃除家電の一つともいえるロボット掃除機は中国では34%と比較的高い数値となり浸透していることが分かりましたが、全体の平均では15%という結果になり、まだまだ根付いているとは言えないようです。
各国の特徴
コードレスタイプの掃除グッズに積極的で、平均の23%を11ポイント上回る34%の回答者がコードレスタイプのお掃除家電を使用している。
重曹・お酢・レモンなどを使ったナチュラルクリーニングを実践する人が多く、また家族やパートナーが掃除を手伝ってくれると答えた人も52%で最も高かった。
週末を掃除に充てるという意識は低く、平日のなかで気づいたときに掃除をしている。
高圧洗浄機やスチームクリーナーを使って集中的に掃除することを好む。
バケツに貯めた水を使ってブラシやモップで掃除し、スクイージーで水分をふき取るといったクラシックな掃除方法が好まれる。
「掃除=ストレス発散の手段」と考えている人が多く、ロボットに頼るのではなく、自分の手で掃除することを大切にしているのかもしれない。ロボット掃除機の使用率は回答国の中で最も低い6%だった。
ガーデニングを日常から切り離す行為として大切にしている。また59%の人が掃除を瞑想に近い行為と捉えている。
インタビュー
ウィーンにあるストレスセンター設立者の一人。ストレスのコントロール方法の研究に長年にわたり従事。
またオーストリアにある予防心理学ワーキンググループのトップとして、多くの人々の「ストレスのポジティブなチャレンジへの転換」を手助けしている。
ルーチンワークをこなすことで報酬系と呼ばれる脳内システムが活性化され、人間は快感を覚えることが証明されていますが、掃除はまさにこれに当てはまります。
一つの物事に集中すると頭がクリアになり、掃除によって家がきれいになるという副次的効果によってリラックスできるのです。
掃除へのモチベーションはどう上げていけばよいのでしょうか?
掃除を「やらなくてはならない義務」か「リラックスにつながる活動」と考えるか、つまり掃除という行為をどう捉えるかによって変わります。掃除を楽しいものと考えることが必要です。掃除に没頭すると瞑想に近い精神状態になることができ、ストレスや疲労を和らげてくれます。基本的には、掃除に対するモチベーションは人によって千差万別です。ある人にとってはリラックス効果があり、またある人にとっては掃除そのものがモチベーションになるのです。
調査によると私たちが感じるストレスの70%は外部ではなく自身の内側から生まれてくるものです。これはそれぞれの性格によるものが大きいのですが、ストレスをプレッシャーではなく日々のチャレンジだと受け止められる人は物事にうまく対処できます。
もし仕事により家事がおろそかになっても自分を責めたりはせず、今実行できることに集中して物事を進めていけます。
家の中が雑然としていることにストレスを感じる人も、自分を責めたりせずに限られた時間のなかでどの場所なら掃除ができるのかに注意を傾けましょう。そうすることで掃除を義務ではなくポジティブなものに変えることが出来るのです。
多くの家族にとって週末はレジャーのための時間です。「土曜日にまとめて掃除する」といったスタンスは現在のライフスタイルに合いません。毎日少しずつでも掃除するのが良いでしょう。実際、忙しい一日が終わった後に掃除をルーティン化することをポジティブにとらえる人が多くいます。
掃除に没頭することで仕事の悩みや不安を忘れることができ、また掃除は「目の前がきれいになる」という効果がすぐに現れます。掃除という行為を通して頭の中のスイッチを切り替えることが出来るのです。
これは個人の考えと文化的な背景という2つの要素が絡んでくるのだと思います。言い換えるときれいであることと整理整頓された状態が社会の中で確立された価値となっている、掃除が行き届き物がきちんと整頓されていることに重きを置く社会なのかということです。完璧主義者は家の掃除に多くの時間を割きます。その一方でだらしがない人は家をすぐに汚してしまいます。また、ワーカホリックであればエネルギーのすべてを仕事に傾けて掃除に時間を割くことはないでしょう。人との関係性を重視する人であれば家をきれいで心地よい空間にすることを好むでしょう。こうしたそれぞれの性格や掃除に対するスタンスに加え、清潔に対する社会の気質が大きく影響します。
テクノロジーの進化により掃除という行為がリラックスに結びつくようになるのでしょうか?
掃除家電は「清潔で整理整頓された環境で過ごしたい」という思いをサポートしてくれるものだと思います。そして忙しい毎日のなかで大きな助けとなるでしょう。時間を節約でき、掃除の効果もより高いものにできるのですから。また忘れてはならないのが最新のテクノロジーを使うのは単純に楽しいということです。掃除においてもテクノロジノーが果たす役割はますます大きなものになってきています。